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ザンビア挑戦記 ~診療所建設プロジェクトから見えてきたもの~ 後編

コラム

前編はこちらから

 

 

ザンビアの活動で実際に出店したり、多額のお金を集めたり、また日本学生支援機構から表彰されたりとものすごく活動を発展させられているなと感じているのですが、ここまで活動を発展させるために心掛けてきたことはありますか?

 

一番大切なのは信頼なのかなと思っています。僕たちも活動を始めた1年目はお金としては100万ちょっとしか集まっていないんですね。で、2年目で300万円くらい集まって、今年は財団にも協力していただけるようになったりして、お金について見ても活動を継続していくだけでもたくさんの人に協力してもらえるようになった現実があって、そこから言えることとして信頼とやり抜くことはすごい大切なのかなと思います。

信頼というのもやはりザンビアの医療をよくしたいということでまっすぐやっているからこそ、応援してくれる人も増えてきて、一回応援してくれた人もまだしっかりやり続けているんだっていうのでさらに応援してくれるっていうのをすごい感じます。例えばお好み焼きの出店でも1回目は確かに反響はあるんですけど、その時はイベントを打ち上げて終わりという感覚があって、2回、3回とイベントやって回数を重ねていくと、その時にまた会う人がいるんですけど、そういう人達は「本当に何回もやっているね」という感じでどんどん応援してくれたというのはありますね。

あとは僕たちの一番の財産はお好み焼きを売りまくってFace to Faceの関係を作りまくったことだと思っていて、お好み焼きを売る時に「なんでザンビア風お好み焼きなんですか?」とか必ず会話が生まれるので、そういう時に1個1個丁寧に「こういう理由でこうなんです」という会話をしてきたんですね。それで、そういう人たちがクラウドファンディングをした時とかにお金をくれたという背景があって、人とのつながりを増やしていく、顔の見える関係性を増やしていくというのが、信頼を勝ち取るとか、応援してくれる人を増やすという意味で大切なのかなとは思います。だからSNSで発信しまくるというのもありなんですけど、オンラインだけでなくて、オフラインでの関係性というのが、今後もっと大切になっていくと思います。

もう1つ大切だなと思ったのはしっかり甘えるということですかね。プライドを捨てて強がらないというか、困っているときは困っているってはっきり言って、あとここに困っているというのをはっきり伝えていくというのは大切ですよね。例えば出店するときに人が足りないから来てほしいとかというのも社会人にも言いますし、出店の時に足りないものがあれば貸してほしいとお願いしたりもするので。プライドを捨てて本音で、ベールに包まれている状態だと誰も触ってくれないので、しっかりと自分を解放してオープンにして本音で甘えるというのはすごい大切な気がします。

 

活動を発展させるために大事なことのまとめ

 

 

 

これまでの活動の中で、困難だったことがあれば教えてください。また、それをどのように乗り越えたか教えていただけませんか。

 

そうですね、今一番困難を抱えていますね(笑)。企画が宙ぶらりんな状態になっているので。まだソリューションが出ていない状態なんですよね。なのでそれに対してどう乗り越えようとしているかをお話したいと思います。今考えているのは、困難がある時に止まってみるということも大切なのかなということです。これまでずっと走りっぱなしでやってきて、問題をある意味で置き去りにしてきたのが蓄積して、今の村の人たちが何を考えているのか見えない状態を作ってしまったというのを思っているので、一旦その村に行って膝を割って話して、ひたすら話を聞く、そして本当に必要としているものは何なのかについて向き合っていきたいと思っています。

あともう1つは、今更なんですけど、物に投資するという考え方は間違ってたなと実感しています。診療所が必要っていうのはあるんですけど、診療所があっても結局そこで働く人がいないとできないですし、その診療所を立てるというプロジェクトをやる上でもそこでやってくれる人がいないとできないですし、診療所を建てるプロセスの中でも人がいないとできない、そして建った後も人がいないとできない、結局ソフトの人の部分がものすごい大切で、じゃあ実際そういった人がザンビアでいるのかというと今いないわけで、大きな反省としては人ではなくて物に投資している時点で間違いだったのかなということはあります。今は、10年間腹を割って話せる人を見つけるというのが大きなミッションなんですね。というのも僕が10年後1人前の医者になった時にザンビアに戻って臨床医として働きたいと思っていて、その時に僕1人で頑張るとかではなくて、絶対パートナー、一緒にやってくれる仲間が必要で、同じ志を持った仲間を見つけるというのが今回休学して半年間かけて一番やりたい大きなところで、そうすることで今後は失敗しないようにしたいなとは思っています。

 

 

ザンビアの活動は医学部の中ではユニークな活動かなと思うのですが、こういった活動に対する批判はありましたか?またもしあればどういう風に対応されたか教えてください。

 

批判はされましたね。「今のお前が行って何になるんだ」と言われ、10年先に行きたいんだったら早く一人前になってザンビアに行ったほうが、もちろんザンビアの人にとってもプラスになるし、その方が自分のキャリアにとってもいいのではないかという、もっともな指摘はかなりいただきましたね。でも、なぜ決断したかというと、まず1つ目は自分たちが立ち上げたプロジェクトを中途半端にするのは絶対嫌ですし、村の中でも頑張っている人はいるので、彼らと一緒に半年間しっかりやり切りたいという思いが一番強い、半ば責任感みたいなものを感じているところはあるので、それをやり切りたいというのが一番大きな理由ですね。

もう1つは今10年先(10年先に医師として現地に行くという未来)を考えてはいるんですけど、それがどうなるかなんてわからないところがあって、今休学してこれまで課題だと思ってきた同志がいないとか、そもそも本当に診療所が必要だったのかという疑問に対して今向き合いたい自分がいるので、だから合理的に考えて10年後だけにフォーカスを当てるのではなくて、今の自分の心に素直になりたいなというのは結構大きかったです。もちろんアドバイスはいただいて、そういう意見もあるよなとは感じるんですが、自分で答えを出したらそれを成功させるかどうかは自分次第だと思うんですよね。だから決断すること自体には意味はないと思うんですよね。例えば休学する・しないに迷っていたって、休学したってしたらしたでいいことも悪いこともあって、休学しなかったらしなかったで後悔が残ったりだとか悪いこともいいこともあると思うので、決断した結果をどうするかというのが大切なことだと思うので、あまり悩んだりはしないですね。

周りと違うことをすると目立ちますが、僕が思うのは出過ぎた杭は打たれないということなので、出過ぎちゃえばいいんじゃないかなということですね。僕も相当目立っているんですが、6年生は自分の1つ上の学年なんですけど、「ザンビアの子」という感じで認識してもらっているので、むしろ光栄ですね(笑)。

また自分が本当にやりたい事だったら、他人がどう言おうと関係ないと思います。自分がやりたい事なので。悩むということは自分がどこかで正しいことかどうか迷っているところがあると思うんですよ。だからそこを他人から指摘されてなおさら「本当にそうだよな、自分これやって正しいのかな」と迷っているんだと思うので、本当に自分がやりたい事だったら他人の言うことなんかまったく気にならなくなると思いますね。

あとはよっぽど間違ったことをやっていなかったら多くの人が笑ってくれると思うんですよね。自分が本当にやりたいことやっているんだったら、その夢中になっている熱みたいなものが伝わっていっていい反応の方が多い気がしますけどね。例えば自由にお好み焼きやっている医学生がいるっていうのを見て勇気をもらったという話の方が多いです。「何やってもいいんだ」と思ったと。

 

 

そうなんですね。では休学されてよかったと思われることがあれば教えていただけませんか。

 

そうですね。まず自分の時間が増えたというのは大きいですね。実習が無いので。その分得られる情報量もすごく増えましたし、あとはもちろん人と会えますし、これまで手を出していなかったことにも手を出せるようになったりとか、自分の時間が増えたことが圧倒的に良いですね。ザンビアに行くというのも自分の時間なので。医学部の実習って強制だからやっているというのもあったので、もちろんそこに戻らなければいけないというのはわかっているんですけど、やっぱり1年間自分の時間がとれるというのはこの上なく貴重で、それができることにすごく感謝していますね。

 

 

逆に休学してnegativeな感情になったことなどはありますか。

 

もちろん医師に早くなりたいというのはあって、そこは全く気にかかってないのかといわれると、気にかかっています。決断を迷うほどのものではありませんが、医者に早くなるという選択肢もあったよなとは思っています。でもそんなに悩むことはないですね。マイナスだよなと思うことは今のところないです。

 

 

ザンビアの活動など色々されてきて、よかったなと感じることがあれば教えてください。

 

一番は色々な人と出会えるようになったのはすごくうれしいですよね。お好み焼き売ってて知り合った農家さんとか、行政(医系技官)の人だってお好み焼きを売っているときに出会った人はたくさんいて、お好み焼きを売っているときに出会ってそこから医療について会話するようになったりとか、ネットワークが広がって、色々な価値観を吸収できるようになったというのはすごく宝物だと思っています。僕と全く同じ道を歩んでいる人はいないので、みんな違う道を歩んできて、幼少期どこで育ったかとかというのもどこかで価値観を形成しているものだと思いますし、そういうのがみんな絶対違うので、それで人と出会えばその価値観を吸収できるというか、それが一生の宝物だと思っていますね。あと一緒にやってきた仲間というのは大切だと思っていて、色々な関わり方があると思うんですけど、例えば部活でも東医体の優勝を目指してやってた仲間って結構結びつきが強いと思うんですね。そういう感じでザンビアの医療をよくしたいと思って全力でやってきた仲間というのは一生の宝物ですし、それだけ熱くなれたのは結構嬉しかったですね。

 

ザンビア風お好み焼きの活動に携わっている方々と宮地さん

 

 

休学されるまではザンビアの活動と医学の勉強を両立されていたと思うのですが、両立のために工夫していた事、時間の作り方について教えてください。

 

優先順位をしっかりつけるというのがすごく大切だと思います。あと、自分のやりたいこと以外はやらないというのが大事だと思います。僕は授業とか行っていなかったですし(笑)。だから時間は正直余裕あったんですよ(笑)。受け身なものが結構嫌いなので授業はものすごい時間がとられるけど、自分が学びたいことは教科書読んだほうが早いというのもあるじゃないですか。それで過去問見て大切なところを把握してやったりしたほうがいいので。全体に対して言ったら失礼なんですけどね。面白い先生の授業だったら絶対出ますし。ただ無駄な時間って結構あると思うんですよね。自分の時間じゃない時間みたいなのがものすごいあると思うので、それを減らしていけば時間なんていくらでも作れるのではないかと思います。時間が一番価値があると思うので、時間が奪われるようなものについてはあまりやらないようにしていますね。

あとは環境が恵まれていたなと思います。例えば車を持っていたとか、シェアハウスに住んでいたとか、シェアハウスだと色々ものが置けるんです。シェアハウスだとでかいので色々なものが置けて、出店に必要なBBQコンロとかテントとかを置いてました。車もたまたま父親の知り合いから安く購入できたので、だから出店できましたし、車を持っていたから時間もものすごい稼げてという感じで恵まれていました。運ですね、そこは。運も味方にしないとなというところですね。Kingdomでも大将軍になるための方法は運が必要だといっていましたからね(笑)。

 

 

今後の残りの学生期間中や卒業後の将来のビジョンについて教えていただけませんか。

 

先に将来の方をいいですか。10年後には医者になって、臨床医になってザンビアに行くというのが一つの目標ではあって、僕がさっき言ったみたいにザンビアでやっていて失敗だったことの大きな反省としてあるのが、ある意味、僕が主人公でやってきたというのがすごいあって、ザンビアですごい頑張っている日本人みたいな。それの方がファンが増えてお金も入ってくるんですよね。でも本来それって結構違うものな気がしていて、やっぱり現地の人が現地の人のために最善の策を講じるのが理想だと思うので、だからそれを黒子としてサポートできるような役割に回りたいと思っています。その1つとして今考えているのが、僕がザンビアに行ってもちろん臨床医として働きながらも、僕の強みというのが日本のバックボーンを持っていることだと思うんですね。日本にも情報があったり人脈があったりするというのが、ザンビアのドクターがザンビアで働くこととの大きな違いだと思うので、その日本の人脈とコネがあるというのをどう活かすかっていうのがこれからの考えていきたいものです。

それでその中で1つ今やろうと考えているのが、臨床研究です。ザンビアの情報って、罹患率とかが分かってもそれがどういう因果関係になっているのかとかが、あまり研究されていないので、そういった学術的な研究というのを日本のデータとザンビアのデータとの比較とかをやっていきたいなと思っていますね。そういうのを向こうのパートナーとやって、向こうのパートナーにとっても日本と共同研究やれるというのを1つのインセンティブにして、研究もやりながらその場で臨床もやって、それを世界にしっかり発信していくというような活動をやっていきたいと思っています。こういう研究は結構少なくて、今、向こうで貧血が広がっているというのはわかっているんですが、じゃあどういう理由で貧血が広がっているのか、日本だと背景にダイエットがあるんですけど向こうだったらただの栄養失調なのかとか、あとは年齢層によってどれくらい差があるのかとか、BMIとの相関はどうなのかとか、そういう臨床研究が結構やられていないんですよね。

学生の間についてですが、これは将来のことから逆算して、1つの手段としてアカデミックなところが大切かなと思っているんですね。向こうの学生と一緒に共同研究やる、向こうの同志と共同研究やるみたいなのが大切だと思っているので、そのためには僕自身がその力を身につけないとどうしようもないので、僕が何も書けないのにそんなことやっていても、誰もついてきてくれないですし。なのでアカデミックに発信できるようなものを今は鍛えています。上先生のところで学んでいるのもそこが一番大きくて、学術的なものをどう書いていくかというのを今勉強していますね。実際今度Lancetのletterで出すのが、ワクチン忌避と国の信頼度というのが結構相関していることがわかって、それをletterでまとめて今度発表する予定です。

 

 

最後にこれから医学部を目指す高校生に一言お願いできませんか。

 

そうですね。医学部目指すとなると基本的に理系科目だけやって終わりみたいな感じになるんですけど、やっぱりザンビアとかに出てみて、世界史の知識みたいなのはすごい大切ですし、地理の知識だって必要ですし、日本史の知識だってすごい必要だっていうのを最近痛感するようになって、だから医者になりたいからと言って医学とか理系科目だけ学ぶのではなくて、やはりすべてがつながっているんだということを前提にして色々なものに興味を持ってもらいたいなと思います。

あとはこっちのほうが重いかもしれないんですけど、医者になりたいっていう人は多いんですけど、医者になるっていうのは結局肩書、医師免許を取ることでしかないので、なんていうか本当に自分が何をしたいのかというのは、医者という肩書を求めるのではなくて、それで誰を幸せにしたいのかとか、何をやったら自分は楽しいのかとか、そういう自分と向き合うというのが高校生の進路を考えるうえで大切なのかなとは思います。だから医者は目指さないで良いと思います。もっとそれよりも先に医者になって何になりたいのかというところを考えてくれれば嬉しいなというか、そういう高校生が増えるといいのかなと思いますね。

 

 

本日は興味深いことをたくさんお伺いできました。本日はインタビューをお受けいただき、ありがとうございました。

 

おわり

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