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ハンガリー医学部日記〜入試、予備コース編〜

コラム

はじめまして!

2019年の9月からUniversity of Debrecenというハンガリーの田舎にある大学の医学部医学科に進学します、藤戸美妃と言います。

これからハンガリーでの医学部生活をCATALYSTで定期的にコラムにしていくことになりました!よろしくお願いします。

 

そもそも海外で医学?ハンガリーってそもそもどこだっけ?

―そう思われる方が多いかと思います。

確かに日本人が医師になる手段として海外の医学部を選択する人はまだかなり少数派ですよね。

ですが、だからこそこのコラムを通して、皆さんに少しでも海外で医学を学ぶという選択肢がある、ということを知ってもらえれば嬉しい限りです。

今日は初回ということで、まずは私の簡単な自己紹介、それからなぜハンガリーを選んだのか、ハンガリーの医学部の仕組みや入試制度、奨学金制度などについてお話しできればと思います。

 

【経歴】

2019年1月〜6月 University of Debrecen 予備コース履修
2019年3月 関西学院千里国際高等部 卒業
2019年9月 University of Debrecen 医学部 医学科 入学

トビタテ!留学JAPAN 高校2期生
(2016年夏に南アフリカで法律と人権のボランティア、タンザニアで医療のボランティア活動を行う)

 

1 自己紹介

 

私は2001年に大阪府で生まれ、17年間ずっと大阪で育ちました。

小学校は地元の公立小学校に通い、中高は関西学院千里国際高等部という私立の中高一貫校で学びました。

5歳の頃から英語教室に通い始め、英語が好きだったので、中学生の頃からぼんやりではありますが、海外の大学に進学したいと思っていました。

大学受験はハンガリーと日本と米国を併願し、最終的にハンガリーの大学を選びました。

 

 

2 なぜ医師の道を選んだのか、どんな医師になりたいのか

 

そもそも私が医師を目指すようになったきっかけは高校1年生の時、南アフリカとタンザニアにボランティア留学していた時でした。当時は国連職員として国際協力の現場で働きたかったのですが、その時に偏頭痛で楽しみにしていたボランティアに参加できないことがありました。そこから大切なことを目前に頭痛になる自分が果たして国際協力の現場で働けるのかと、とてももどかしい思いをしました。

帰国後も頭痛は悪化していく一方で、もどかしさと同時に片頭痛で悲劇のヒロインぶる自分のことも情けなく感じるようになりました。何とか治ってほしい、と自分自身頭痛専門医を受診しましたが、頭痛の原因となる誘発因子は本当にたくさんあり、原因が特定されることはありませんでした。

そんな中、インターネットで頭痛について調べていると、日本の片頭痛患者の74%が日常生活に何らかの支障をきたしている※1ことや、頭痛が社会の生産性を下げていて、頭痛による経済損失はかなり大きい※2ことを知りました。

それから私は一人でも多くの頭痛患者が当たり前の日常生活を送れるように、また頭痛による経済損失をなくせるように、一人一人の頭痛患者の原因となる誘発因子を特定できる頭痛専門医になりたいと思うようになりました。

 

 

3 なぜハンガリーの大学を選んだのか

 

そんな目標を叶えるために私がハンガリーの医学部を選んだ最も大きな理由は、ハンガリーの医学部を卒業すると、EU(ヨーロッパ連合)各国での医師免許はもちろん、日本の医師国家試験の受験資格、米国のUSMLE(United States Medical Licensing Examinations)の受験資格、カナダのMCCEE(Medical Council of Canada Education Examination)の受験資格、また国により研修等の必要な場合がありますが、イスラエルやギリシャ、インドなどでの医師免許が取得できるからです。

頭痛患者の原因となる誘発因子を特定できる頭痛専門医になる、という大きな目標を実現するために大学卒業後は医学の最先端を走る米国で頭痛に関する臨床研究に携わり、日本に帰国後、学んだことを生かして頭痛の診療所を開業したいと思っています。

そのためには米国と日本両方での医師免許が必要です。しかし現在は日本の医学部を卒業して米国の医師免許を取得すること、あるいは米国の医学部を卒業して日本の医師免許を取得することはとても困難です。海外の医学部を卒業し、日本で医師の資格を取得するためにはまず医師国家試験の受験資格を厚生労働大臣から認定される必要があります。医師国家試験の受験資格には医学校での修業年数や履修時間など細かな条件があり、どこの医学部でも良い訳ではありません。厚生労働省の審査によって「受験資格なし」「予備試験の受験資格」「医師国家試験の受験資格」という認定が与えられます。

ハンガリーの4つの国立大学医学部は医師国家試験の本試験の受験資格の基準(教育年限や授業時間数等)を満たしている大学です。よって卒業後、個別審査を受ければ、日本で医師国家試験の本試験が受験可能で、他の国の医学部よりも日本の医師国家試験受験までに踏まなければいけない段階が少ないのです。その点からハンガリーの国立大学で勉強することにしました。

他にもたくさんの国の医師免許が取得できるということで発展途上国で医療活動に従事したくてハンガリーの医学部に進学している生徒も多いです。

 

 

 

 

4 入試について

 

ハンガリーの医学部に在籍する日本人生徒のほとんどはハンガリー医科大学事務局(http://www.hungarymedical.org)という日本の事務局を通して出願・受験します。

入学する方法は3つあり、予備コース、短期集中予備コース、本コースがあります。

予備コース、短期集中予備コースは直接医学部の1年生として入学するのではなく、1年間(短期集中予備コースは半年間)物理、化学、生物、ハンガリー語を勉強します。

私は短期集中予備コースで勉強したのですが、このカリキュラムについてはまた後ほど詳しくお話します。

 

入試は日本の医学部受験とはかなり異なります。

まず違うのが試験日程です。センター試験と二次試験のように決まった日が1度あるのではなく、ハンガリーの国立大学を受験する際は予備コースであれば10回、短期集中予備コースであれば3回試験日程があり、自分で受験する日を決めることが可能です。

審査方法も日本の医学部とは異なります。

ハンガリーの医学部を受験する場合、予備コースと本コースで若干試験内容が違うのですが、いずれのコースも書類審査、筆記審査、面接審査があります。

書類審査ではこれまでの経歴やエッセイを書きます。私の時は医師になりたい理由やどの様な医師になりたいか、また自分が医師に向いている理由などを書きました。

筆記審査は

1 生物・化学・物理の内2科目 

2 英語

がありました。

理科科目について、私は日本語で受験しましたが、これは日本語か英語、自分の慣れている言語で受験できます。日本の一般的な理科の試験とは少し傾向が違う、というのが私の印象でした。医学部で実際に必要になりそうな知識が問われることが多かったです。

英語の試験はリスニングや文法や読解の問題でかなり長い試験です。

日本の医学部を受験すると必ず必要な数学が筆記試験にないのがハンガリーの医学部の一つの特徴だと思います。

面接審査もかなり自分の経歴や医師になりたいモチベーションなど色々なことを15分程度、幅広く聞かれました。

予備コースか短期集中予備コースを受験する場合はこの3つの審査で合否が下されます。

本コースで入学する場合はまずは予備コースの審査をパスする必要がありますが、その後、英語の筆記試験と口頭試験があります。受験可能な4つのハンガリーの国立大学それぞれによって試験内容は若干異なりますが、筆記試験も口頭試験も生物、化学、物理について英語で問われます。詳しくはハンガリー医科大学事務局のホームページをご覧ください。

 

 

 

5 ハンガリー医学部受験に当たってどのような勉強をしたか

 

日本の医学部と異なり、過去問が出ているわけでもなく、どのような試験かが未知だったのでその点はとても苦労しました。

筆記試験に関してですが、英語はTOEFLのスコアが一定の点数以上であれば免除してもらえる、ということで私は高校3年の夏に受験したTOEFLのスコア(106点)を提出して免除してもらいました。

理科は生物と化学を選択したのですが、生物は日本の生物基礎と生物を勉強しました。特に人体に関連したところは重点的に勉強しました。また化学は化学基礎と有機化学を勉強しました。

私の場合、米国の大学も受験する予定だったので米国大学の受験に必要であるSAT Subject TestのChemistryやBiologyのテキストを併用して勉強しました。

 

 

6 英語力はどれくらい必要か

 

ハンガリーの第一言語はハンガリー語ですが、私は国際生として英語のプログラムに在籍しています。そのため授業は全て英語で行います。

私は比較的早いうちから英語に触れる機会がありました。5歳の時に初めて英語の通い始め、その後地元の公立小学校に通いながら週2回程英語教室に通っていました。小学校2年生くらいの時にほんの少しだけみんなより英語が話せることに優越感を持ち、それから英語を自主的に勉強する様になりました。英語の辞書をAから読んでいったり、英語のYouTubeを見たりしていました。小学校5年生の時に英検2級に合格するレベルでした。

もっと英語力を伸ばしたいと思い、中学は関西学院千里国際中等部という英語教育が充実した私立の中高一貫校に入学しました。それから学校では英語の授業をたくさん受け、同時に週に1度英語の個別塾に通っていました。中学2年生で英検準1級、高校1年生で英検1級取得、高校3年生で受験したTOEFLは106点でした。

そのため、予備コースで英語に困ることはありませんでした。教科書は膨大な量の英語を読まなければなりませんが、印象としては予備コースから通う場合は英検準1級程度あればついていけると思います。本コースから入学する場合は英検1級程度ないと厳しいと思います。

 

 

7 予備コースって?

 

先ほど「4 入試について」で予備コースについて少しお話ししましたが、具体的にここで簡単に予備コースがどのようなコースなのかをご説明します。

予備コースとは本コース(1年生)に直接入学するには英語や化学、生物、物理の知識において不安のある学生がその準備のために入るコースです。

日本の高校を卒業した生徒はこの予備コースを経て1年生に入学する人がほとんどです。日本人は1学年約8割程度が予備コースを卒業して、2割程度が本コースから入学している印象です。

予備コースにも2種類あって1年間の予備コース(Long Basic Medicine Course、以下LBMC)と半年間で1年間のカリキュラムを詰め込む短期集中予備コース(Short Basic Medicine Cours、以下SBMC)があります。私は高校卒業の単位が高校3年生の2学期の時点で揃っていたので、高校3年生の1月(2019年)に留学扱いとして高校を休学し、高校3年生(2019年)1月初旬から6月下旬まで半年間の短期集中予備コース(SBMC)で勉強しました。

 

 

LBMCもSBMCも勉強する科目は生物、物理、化学です。(LBMCのみ2学期目にハンガリー語の授業が入ります)

週当たりの授業数や試験回数がLBMCとSBMCで異なりますが、ここからはSBMCのカリキュラムについてお話しします。

授業は各教科Lectureという出欠を取らない1時間30分の授業が週に2回、Seminarという出欠をとる1時間30分の授業が週に2回ありました。Lectureは大人数の授業で新しい範囲を教授が説明してくださり、少人数(各クラス10名ほど)のSeminarでLectureの範囲の復習や分からないところを説明してくださります。

 

 

各教科何を勉強する?

生物

前半は細胞生物学、後半は人体を勉強します。

テキストはLife: The Science of Biologyという約1300ページのテキストを使います…

前半は動物細胞の細胞小器官についてや遺伝について重点的に学び、後半の人体は浅く広く学びました。

 

化学

前半は理論化学、後半は有機化学を勉強します。

理論化学は日本の高校化学と重複している所が多いので比較的楽ですが、一部混成軌道や、原子物理の話など高校では扱わない範囲もありました。

後半の有機化学は日本の有機化学とは全然違いました。構造決定するよりは有機化合物の名前を暗記したり、反応の段階を覚えたりすることが多かったです。

 

物理

私は高校で物理を選択していなかったのですが、日本人で物理を選択していた生徒曰く、高校の物理基礎、物理の範囲で、高校の既習者はかなり簡単そうでした。未習者もテキストをきちんと読めば理解できるレベルでした。

 

試験について

各科目Self Control Testいう学期内に定期的にある試験が6回(LBMCの場合8回)あります。だいたい試験は1回1時間〜1時間30分程度で選択問題や記述問題などがあります。

本来はSelf Control Testとは別に学期末にFinal Examといって期末試験のようなものがあります。この試験に通らないとコースは終了したことになりません。

 

ですが、

・Self Control Test各科目6回中5回(LBMCの場合8回中6回)の平均が75%を超えている

・Self Control Test各科目全6回の試験が40%以上

・各セメスターのSeminarの欠席数が6回以下(LBMCは各セメスター4回以下)

この全てを満たしていた場合、Exemptionと行ってFinal Examが免除されます。

免除されなければ学期末にFinal Examを受ける仕組みになっています。

 

 

 

8 最後に

 

ハンガリーで医学を学ぶことが選択肢として入っている高校生はまだ少ないと思いますが、実は毎年ハンガリーの医学部で学ぶ日本人学生は増えているそうです。

また、海外の医学部と聞くと「お金がかかる!」と思われる方もいらっしゃると思いますが、日本の私立の医学部に通うよりは安く進学することができます。ハンガリー内の大学によって多少は異なりますが、年間300万円程度です。

ちなみにハンガリー政府奨学金といってハンガリー政府が出してくださる奨学金もあります。書類や筆記試験、口頭試験を受験し、毎年日本人も何名かが奨学金をもらうことができます。給付型の奨学金ですが何の制約もなく、6年間の授業料全額無料、生活費などもある程度出してくれます。他にも日本の地域が出してくれる奨学金も最近はあるそうです。

 

ということで初回はこれくらいにしておこうと思います。

もしこんな話が聞きたい!という要望があったり、個別に何か質問があればCATALYST、もしくはfacebookで「Miki Fujito」と検索してご連絡ください。

 

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